ハナコ@ラバトリー(1) 感想

ハナコ@ラバトリー(1)
秋★枝, 施川 ユウキ
ジャイブ ( 2011-02-07 )
ISBN: 9784861768187


ちょっと面白かったので感想を。
この作品は施川ユウキ氏原作、秋★枝氏作画の漫画です。秋★枝氏は「純真ミラクル100%」や「煩悩寺」で有名ですね。いや有名か微妙だけど。
どんな話かというと、トイレの花子さんをモチーフにしたキャラクター、「ハナコさん」を中心としたオムニバス形式も物語です。


正直言ってしまうと設定の時点で凄いひかれてた。面白い予感しかしませんでした。
で、読んでみての感想はそれはもう「面白い!ヤバい!」以外浮かばない状態でした。
なんでしょう、なんというか一言で説明できる面白さではないのですが、今までの秋★枝の漫画の面白さを僕好みに抽出したというか。
オムニバス形式なので当然一話一話が完結しているんですが、この結末が素晴らしい。それは施川ユウキ氏の力量なんだと思います。
過剰に感動させるようなお涙頂戴話でもないんですが、とても綺麗にまとまっていて素晴らしい。
今までの秋★枝の作品はニヤニヤゴロゴロなラブコメが芯になってる作品だったと思うけど、今回は少し違います。それは原作者が違うからってのはもちろんなのですが、やっぱり主人公が「ハナコさん」である事が大きいと思います。
ハナコさん、もちろんモチーフの設定通り幽霊です。トイレに縛られています。何処のトイレか決まっているわけじゃないですが、それでも「トイレ」以外の場所にはいけません。
ともすればただ暗くなりそうなこんな設定を、その視点から見た人間模様を描く事でここまで綺麗なお話になっているのは原作・作画のお二人の力量によるもの以外の何者でも無いと思います。
話も安易で単純な感動話になっていないのが素晴らしいと思います。ハナコさんはいろんな人にとても冷たいです。「甘えるな。」「自由じゃないの。」という言葉は、トイレに縛られているハナコさんが言うととても強く厳しい言葉です。
だから、話としては「ハナコさんがいろんな人を救う話」ではありません。「ハナコさんの目の前で、いろんな人が勝手に助かる話」です。それはどうしようもないくらい、どうしようも無い話で、しょうもない話です。でも、だからこそとても綺麗な話なんだと思います。


ちなみに僕個人が一番好きなお話は、「LAV4.@ピッチャー」です。野球小説の話です。いやこんなタイトルですが正直言うと野球の話はあんまり関係無いです、これは「物語」のお話です。……うん、まあ、あとは読め。良いから読め。

僕は申し訳ない事に施川ユウキ氏の作品に触れるのはこれが初めてですが、秋★枝氏の作品に関しては商業の物は全て購入しているので、ここでオススメしておきます。
いや本当に素晴らしいですよ。読んでいてニヤニヤしてほっこりしてとても幸せな気持ちになれます。
出ている数もそれほど多くないので、是非まるごと全部購入して秋★枝ワールドに浸ってみるのが良いと思います。
きっと、幸せです。