シアター! 〈2〉 感想




参考 シアター!感想


どうやって読んでも痛いのは分かってた。


そんなわけでシアター!の2巻の感想です。
まず率直に。面白いです。面白すぎます。即買って下さい。もう何でも良いからすぐに1、2巻を買って下さい。近くに本屋が無い?良いからすぐポチれ。



……さて、真面目な啓蒙活動はこのくらいにして。え?いや真面目ですよ。こんなに買って損は無い小説ってそうそう無いと思います。お金がキツいって人もこの文庫値段なら大丈夫でしょ。
で、そーゆー話は置いといて、感想。




あらすじは公式とかに任せるとして、1巻でクローズアップされていなかったキャラクターにもフォーカスが行き、本当に「全員で演劇をしている。」感が出てきました。人の関係もこじれて、もつれて、でもなんとかなって、どうにもならなくなって、そんな本当に素晴らしい物語。
どうしてこんなに多彩なキャラを自由に動かせるか、有川浩先生の力は本当に凄い。
ご本人が「キャラが勝手に動き出すのを物語にする。」って書いてる通り、きっとキャラクターを作るのが大好きで、想像してていろんな物語、ストーリーラインが出来ていくんだろう。だから、そう、「キャラクター有りき」の物語だから、こんなにもみんな生き生きとしているんだと思う。
今回は有川さんらしく全開よりも恋愛要素が多め、とは言っても、有川さん作品の中では恋愛要素少なめ。
いや違うな。これは確かに「恋愛」も含んではいるけど、「演劇」というクローズドなサークルでの、「人間関係」を中心に描いた物語だ。
だから恋愛要素も出てくるし、友人同士、兄弟同士、親子同士の喧嘩も出てくる。恋愛要素はあくまで「人間関係」の一部だ。そこが心地いい。
どのキャラクターも現実や人間関係に苦しみながら、でも絶対に自身の芯を失わない。そのプライドがキャラクターとしての魅力となっていて、本当に眩しい。ちゃんと行動に芯が有るキャラクターは見ていて安心出来るし、だからこそきっと有川さんも「キャラが勝手に動く」と言えるんだろう。ちゃんと作りこまれてないと、そんな事は出来ない。
1巻が終わったときに「続きを知りたいけど、続刊が出て欲しくない」」って思ってたんですが、続いた以上最後まで綺麗に書いて欲しい。
実際スパンで見る限りきっと3巻で終わりなんだと思う。この話の終わりを読める喜びと共に、この話が終わってしまう悲しみを背負う覚悟の元、3巻を待とう。




そんな感想と共に。
一言で言って、辛くて、苦しくて、痛くてたまらなかった。
これじゃぁまるで否定しているようで、上の「面白いです。」と噛み合ってないように見えるかもしれないけど、どっちも全て本当。
1巻の感想の時も書いたけど、どうやったらみんなこんなに真剣になれるのかと。どうしてこんなにみんなまっすぐなんだと。なんでこんなに愚直に続けてられるのかと。
何もかも中途半端な事ばかりの僕としては読んでいてたまらない。それはこんな青春を疑似体験出来る幸せと、そんな青春を掴めたはずなのにそこまで真剣になれなかった不幸の背中合わせ。
1巻の時の感想でも書いたけど、兎にも角にもどのキャラも素晴らしすぎて、逆に辛い。皆が眩しすぎる。
それは羨望の辛さと、感情移入の苦しさと、回想の痛さ。この話に出てくるどれにも僕はきっと「本気」になれなかった、その報い。
今までやってきた事どれでも言える、きっともっと本気でやってれば、この作品と同じような素晴らしい気持ちになれただろう。でもただ単に怠惰な僕は結局何もしなかった。結局この痛みはそれだけの話だ。
きっと本気で何かしていれば、登場する誰にでもなれた。そうならなかったのは、ただ単に僕の怠惰。
うん、それだけ、だ。